top of page
執筆者の写真YY

当店の看板血統 順昌NL系について

当店のホペイの看板系統は、2023年現在主に5つほどございます。

①GX系(GX50、DG-V1、yyii等)

➁S系(S70系、S76系、M44S系 等)

③D系(D系統インライン、DX50、DG-V1、50G-D等)

④KX系(KX303、KX8.3)

⑤順昌NL系(NL、NL8、72U2、NLU2、NLAP 等)


それぞれが異なる血統背景を有していますが、例えばGX50系×D系という自家系統統合を行ったDX50などがあるように、それぞれが完全に独立しきっているわけでもありません。その中で、完全に他と独立しているのが順昌NL系です。


ホペイオオクワガタブリードは、形状追及と同時に、産地コレクションという側面も隆盛初期の頃には持っていました。今でも、〇〇省◆◆の◆◆までの産地が明確なものを大切にするのが主流です。順昌NL系が他①~④から完全に独立しているのは、そういった産地縛りによる理由です。きちんと引き継がれてきた産地ものを守っていくという手法により、自由度こそ低くなれど、練り込み度が高い血を作ろう・他血統や他産地との差別化を明確にしようという意思が当店の順昌の土台です。


今回のこの記事では、当店の順昌系統群の今に至るまでの軌跡をまとめてご紹介していきます。




2007年 73C系統との出会い

当店の順昌は2007年に73C系統と出会ったことから始まります。2007年冬、73C系統の75mmのペアを桜GENZI本店より購入します。当時は多くの血統に加え多くの産地が出回っており、今ほど高い数量的感覚の世界ではありませんでしたが、今よりずっと形状のバリエーションは豊かでした。まだ順昌もWF3~WF4の時代です。色々な個体、血統、産地ものに目移りをしている頃のことでした。届いた個体は次のように、とても大きく・分厚く・重たい個体でした。


73C系統 WF3 75mm


この威圧感に惹かれ、順昌の系統群を駆使した試行錯誤が始まります。




2009年 順昌73C 2代目の誕生

2009年、上記の個体の次世代が誕生します。まだまだ育成技術が至らなかったこともあり巨大な個体は誕生しませんでしたが、その代わりに親を凌駕する以下のような厳つい個体と極美個体が誕生します。


73C WF4 厳つい個体


73C WF4 極美個体

この2つが私にとってのツートップでしたが、厳つい個体は譲渡をしてしまいます。当時も厳つい個体は人気でしたが・・・・その中で人気に捉われず目指したい個体をセレクトするという選別が、今につながる道への岐路の一つであったと、振り返れば思われます。この時から、私は順昌に迫力だけではなく、美しさも求めていくようになります。ただし、当時は当家の順昌に私自身はどのような”美しさ”を求めていくのか、というビジョンは明確ではありませんでした。




2009年 AP76系統との出会い

AP系統のAPは、「顎ポキ」からきておりました。顎が太すぎて、羽化直後に片顎先端が折れてしまったことから顎ポキくんというあだ名をつけられた親虫からの子であったということでした。AP系統はそういうことで、当時で言う超極太顎(6mm中盤付近)の親虫の可能性からかなり世間をざわつかせた系統の一つであったと記憶をしています。私もそういうことでAP系統を導入したのですが、AP系統から太い虫は出ませんでした。もちろん、AP系統の中でも安価なものを購入したため仕方なかったのですが、AP系統からとんでもなく太いものが出たという話を聞いた記憶はありません。そんなAP系統のほとぼりが冷めようかという頃に登場してきたのがAP76系統でした。


AP76

AP76系統はAP系統と、「100万円積まれても売らない」と言われた76系のCBF1でした。太いものが非常に多く、個性的な容姿からも人気があり、ホームページを分単位でチェックしていても売れてしまう、そんな系統でした。「最も高額な系統の一つ」と言われた系統でもあり、購入ができませんでした。その本店購入AP76を、ブリードの先輩に破格でお譲り頂いた・・・それがこのAP76系統の個体です。


このAP76系統との出会いが、順昌の方向性を決めていきます。AP76系統を手に取った時の感想は、「こんなアンタエウスオオクワガタのような肌質の個体がいるのか」という驚きでした。また、きめ細かく真っ黒な肌質が光をよく跳ね返す様子を、「とても派手だ」と思ったものでした。



色々な系統を手に取ってみた2009年

画像がなくなってしまっているものも多いのですが・・・2009年は多くの順昌の系統を手にします。画像がなくなってしまっているものには、H2系統などがありました。


AZ系統 78mm

こういった分かりやすい形状に基づく有形の厳つさよりも、バランスが良く”雰囲気”が派手な無形のオーラを纏った個体を目指していくようになります。


AP系統

やっぱりあまり太くなかったAP系統




AP系統


AP系統は、結果が出なくてもそれを超えたカリスマ性が血統にありまして、今でも我が家の血の一部に残っています。何年も何年も経ってから、太さを出してきました。AP系統の親とは少し違い、顎の厚みや丸みにAP系統の血は繋がっています。




超ど派手 SZ-G系統との出会い

そんな2009年、私は遂に当時の私が求めていた派手さの順昌と出会います。60㎜台でしたが、主張が強く、店主も「これはド派手なフォルム」と仰っていたSZ-G系統のオスでした。


SZ-G 2009年

顎・頭・胸・腹とガチガチに詰まった全体像の個体です。また、眼下突起の発達が非常に顕著で、胸幅と頭幅の差を感じさせない形状も独特でした。そして何と言っても、上手く写せていませんが、ビカビカの超光沢の肌質が、私が当時求めていた派手さにぴったりでした。このオスのためにH2系統の店主準種ストックをお譲り頂き、GZG-H2という系統を作ります。インラインで大きくするのが難しいかもしれないということで、H2との系統分離交配をしたのでした。この派手さで、当時最高系統であったH2のエッセンスが加わって、更に大きくなったらどんなことになってしまうのだろう、という夢いっぱいの1オスでした。これが、ある理由もあって未だに私の携帯電話のメールアドレスになっています。




派手なだけでは物足りなかったSZG-H2 2010年次世代

先述の通り、私は全系統を無くしてSZG-H2一本でやっても構わない(いや、TP:Eだけは残したい)というほどののめり込み方でSZG-H2の育成に取り組みます。その次世代がこちらでした。


SZG-H2①



SZG-H2➁


SZG-H2③


SZG-H2④

どれも、しっかりオス親の形状を踏襲しました。ほとんど全ての個体が75㎜を超えました。肌質もビカビカでした。しかし、なんとなく親オスの形状が間延びしただけのように感じられました。この頃はまだ親オスが存命でしたから、次世代と手に取って比べてみたものでした。比率なども親オスとあまり変わっていないのですが、親オスほどのまとまりを感じることがどうしてもできませんでした。


SZG-H2については、先に述べた通りののめり込み加減であったため、ここで撤退をせずに次世代を採ることになります。その次世代で、私はSZG-H2から完全撤退をすることを決意するのですが、これが現在の当家の順昌系統群、のみならずGXや他の系統にも通ずる一つのブリード哲学が確立した瞬間でもありました。その瞬間を忘れないために、当家の看板系統がその後何に置き換わろうと、私のメールアドレスにはSZG-H2が含まれているのです。系統とは決別をしましたが、系統が残してくれた文学的な意味での遺伝子はしっかりと踏襲していこうということです。では、その問題の次世代をご覧いただきましょう。



2代目 SZH-H2  CBF2 2010年羽化

どうでしょう!めちゃくちゃカッコいいでしょう。2011年の段階でこのカッコよさです。10年タイムスリップして2020年代に出しても、カッコよさ&バランスで十二分太刀打ちできる個体だと思います。しかし、体長が、68mmでした。奇しくもSZ-Gのオス親と同じ体長でした。


この個体から、私は小ぶりだから体現できるバランスがあること、小ぶりだから表現できるまとまりがあることを学びました。大きくすると間延びしてしまう血があるということを知りました。だから、大きく太くしたときに、きちんと迫力を伴わせてくる血を作っていかなければ虫と血統のレベルアップは成しえないと考えたのでした。


72mm-74mmくらいだと、カッコいいんですよ。68mm-72mmの範疇にある個体って、おのずと恐ろしくバランスが整うことが多いんです。でも、それでは大きく太くしたときに同じ完成度が伴って来ないのです。今回は順昌についての記載ですから順昌系統を中心にご説明していますが、同時に同じことを64㎜個体から始まった北峰TP:E系統でも感じていました。


いずれにしてもこの観点から、SZG-H2には、これ以上の迫力を、これよりもずっと大きな体長で体現させることが難しいと判断、断腸の思いで完全撤退をしました。もともと我が家で迫力と美しさを両立していたのは73C系統でした。そして、そこに奇跡のタイミングで導入できたあの伝説の系統が加わっていき、今のNL系につながっていきます。





76U-Limited No.1

2010年の年末、私は73C系統のどっしりとした個体を手に取りながら、この個体になんとかしてビカビカの光沢エッセンスを取り入れることができないかを考えておりました。そうして本店に問い合わせ、公開前に譲渡を確約して頂いたのがこちらの個体でした。最後の最後まで、当店に限らず多くのブリーダー様のところに残り、また出回った血の販売No.1個体は当店に来ていたのでした。


76U-Limited 70mm


カッコよくてカッコよくて、何枚も何枚も性能の低いデジカメで頑張って撮影をしました。70㎜とは思えない重量感、分厚さ、そしてギラギラのツヤ肌に鳥肌が立ったものでした。このインラインと、73Cとのアウト交配で、当店のNLに近しい血が出来上がっていきます。ただし、76U-Limitedは優良個体の輩出率が非常に高かったものの(ほぼ100%)、インラインが非常に弱く、産まない・孵化しない・幼虫が大きくならないという3点が付きまといました。同時期に系統を増やすために入手した76U-Limited-TYPE:Zとのアウト交配でもその傾向は変わりませんでした。


余談ですが、桜GENZIホームページで「これが俺の理想の個体!」と紹介された76U-Limited-TYPE:Zの個体(SZ)そのものがこちらです。


76U-Limited-TYPE:Z(ランクSZ)

これが順昌の頂点に立つ個体の一つでした。2010年~2011年のホペイとは、大体このような領域にありました。72mm、頭幅27mm中盤でした。


余談ですが、この頃には私はTP:Eの最高位のSR個体も入手をしておりました。

福建省北峰 TP:E-刀系統(SR)

生きて動いているのが奇跡!と呼ばれた個体でした。



ここから、73Cと76Uのインライン・アウトラインの試行が続きます。その結果、私は順昌に以下のような個性を求めるようになり、また当家の順昌は意図せず以下のような形状を有するようになってきます。


【順昌に求めたこと】

①小ぶりにならないこと

➁厚みがあること

③顎に体格に似合った丸みがあること


【血の構築の副産物として発現したこと】

①非常に長い内歯

➁眼下突起が頭幅最高数値を得るような発達をすること

③顎先が屈折することで内歯が飛んで見える個体が出ること


血の構築において最も難しかったのは、もっともこだわった肌質でした。


【血の構築で難しかったこと】

①理想の形状に近づくと艶消しになることが多い

➁理想の形状から離れると光沢が強くなることが多い

③理想の形状に近しくなると小ぶりになることが多い

④幼虫体重が良く乗ると間延びした形状で羽化することが多い


要するに76U-Limitedを大きくしたかったのです。しかしそれが難しかった。本店販売個体たちもほとんどが66mm-71mm、ビッダーズで出回った個体たちも65mm-70mmが多かったです。大きくすると、73Cのようなマットな質感の個体が出てきました。当たり前ですが、76Uと73Cのブレンドですから、76Uに寄せるとそれなりの苦労が、73Cに寄せると求めていない発現が出たのです。この調整が非常に難しかったものでした。




試行錯誤の間に出現した個体たち


ハンマーヘッドタイプ


内歯が長くなり、顎先が屈折する個体も出てきた


美しい円弧と重なりを両立する個体も


ストレート気味になると重なりは更によくなった


しかしこのようなカクカクしたストレートは目指す形ではなかった


頭幅28.8mm スペックも伴ってきた


76U-Limiedのインラインではエリトラのスレのような模様が決まって引き継がれた

このエリトラのスレのような模様は、購入したオス親にあったもので、こういう細かいことが引き継がれたことに驚いた。



73C系統 74mm

73C系統も複数保持し、同じ73C系統をかけ続けて同じような形状が量産されることを防ぐようにした。

・73C→3系統ほど保持

・76U-Limited→2系統ほど保持

・76U-Limited×76U-Limited-TYPE:Z→2系統ほど保持

・73C×76U-Limited→常に複数保持

このように、例えば他にAP系統やPremium系統なども保持していたが、順昌の系統の造り込みについては76U-Limitedと73C系統の2つのタイプで作ることに注力した。



76U-Limiedの限界


76U-Limited系


76U-Limited系

最終的に76U-Limitedのインラインはこのような従来の順昌にあまり見られなかった形状や、異形個体を出す系統として最後を迎えた。血が濃くなり、産まない・孵化しない・蛹が黒くなる・羽化しても短命と、累代弊害を思い切り抱えている代わりに、当時世の中に無いような異形個体を出すことがある系統となって幕を閉じた。







76U-Limited×73Cの限界


76U-Limited×73C



76U-Limited×73C




76U-Limited×73C


73Cと76U-Limitedのブレンドは、このように非常に長い内歯・威圧的な張り出し・複眼以上に張り出す眼下突起・外歯形状によっては前方に飛び出す内歯、そして光沢・・・こういったものを揃えた系統に磨き上げられた。


しかし、これ以上順昌血統の顎基部が太くなることはなかった。累代を重ねた分形状は初代76U-Limitedに勝るものになったが、初代76U-Limiedの本店個体顎幅7mmクラスを見ていた私にとって、順昌をこれ以上そういう領域に踏み込ませるビジョンが持てなくなってきた。そのように天井を感じていた時に以下のとんでもない個体との運命的な出会いを果たすのであった。






限界×限界=上限の解放  次世代を残せない73Cが当家に

どうしても迫力追及の上限を感じていたころ、我が家にとんでもない73Cが1オス2メスでやってきます。2016年のことでした。この73Cはやってきたときには、既に即ブリの状態でした。


73C 74mm


この個体は当家でブリードをした個体ではありません。順昌73Cをずっとインラインでブリードされ続けてこられた方から譲渡頂きました。その背景は、「もう子が残せないから記念にもらってほしい」ということでした。この個体を手にしたときの衝撃は今でも鮮明です。流通する順昌はほとんどが76U-Limitedになり、多くが70mmを割るような時分のことです。こんな順昌がまだいたのか!ということと、73Cはインラインで磨き続けるとこんなレベルになれるのか・・・と少しだけ系統を組み合わせて四苦八苦した自身の取り組みを疑いすらしたものでした。


先方のおっしゃったとおり、付属してきた交配済み同腹の2メスを再交配して採卵に臨みましたが、空砲のみで次世代を得ることはできませんでした。しかし、この頃私は別系統である実験をしており、その結果を得たばかりであったため、実験結果を踏まえた交配に挑戦してみることになります。




【実験】

・実験の目的

濃血になったことにより生育不良・産卵能力の低下等の累代弊害が出ているが優良形状を出す血統において、同レベルの次世代確保すること。


・実験してみたかったこと・・・以下の仮説について実験をしてみたかった

①産まない血統のオスやメスには本当は種は残っているのではないか

産まないと言われる血統のオスを産むと言われているラインのメスに交配すると多くの次世代を得られることが多かった

➁後からかかったオスの形状の発現率が高いと言われている

メスに後からかかったオスの遺伝子の方が優先的に引き継がれるという説がある


この実験は能勢産オオクワガタで行い、2016年に良い成果を得ました。我が家にはめちゃくちゃに太くなった能勢産オオクワガタがおりましたが、これが交配させてもどうしても産みませんでした。


能勢産オオクワガタF7 75.5mm

このオスは素晴らしい形状の個体でしたが、種を持っていなかったのかメスに交配をしてもメスは赤い卵しか産みませんでした。そこで別の系統の能勢産オオクワガタを同メスに掛けると健全な卵を産みました。引き続き・・・このオスをそのメスに追いがけをしてみると、メスはやはり有精卵を産みました。次世代の発現については面白いことに、別系統のオスをかけ産ませた卵からは華奢な個体のみが羽化しましたが、別系統のオスをかけてこのオスをさらにかけて産ませた次世代からはこのような極太形状が出てきました。


上記能勢産オオクワガタについて記載の通りの結果が得られるのは2017年初夏ですから、この結果を見る前に順昌でも同じ試行をしたということになります。少し違ったのは、能勢産オオクワガタのメスが赤卵を産んだことに対し、順昌73Cのメスは空砲しか残さなかったということです。私としては先の画像の子孫をどうしても得たかったため、以下のような取り組みをします。


①産む76U-Limitedのメスを用意する

➁そのメスにこのオスを交配する

73C-74mm

③そのメスを産卵セットに入れず、次のオスを交配する

76U-Limited-75mm

④先のオスの交配でメスは産むようになったはずなので、再度73Cのオスをメスに掛ける

⑤そのメスを採卵セットに投入する


このように、インラインブリードかアウトラインブリードかというじだいにおいて、一つのメスに対して複数のオスを計画的に交配するという新しいスタートを切る・・・そういう意味を込めてこの実験にNew Launchという名前を付け、その結果得られた次世代にはこの実験の頭文字をとってNL系統と名付けた・・・・これがNL系のスタートです。


2017年に初代CBF1となって誕生した順昌NLは、親の73Cよりも、76U系統全般よりもサイズアップし、スペックアップし、そして形状も威圧的になり、多くの個体がエレガントな光沢を有するという快挙を成し遂げます。2つの系統を使って、1+1=3にした瞬間でした。


それでは、いくつかの順昌NLの初代をご覧頂きましょう。全て同腹です。驚異の個体群が誕生しました。


初代NL、72mm、顎幅6.8mm



NLで一番最初に蛹化した個体です。ここまでのレベルになるのは想定外でしたので、瓶底に放置して羽が巻いた蛹にしてしまいました。それを仕上げたものが3枚目です。この個体は自力で羽も収納し硬化しましたが、譲渡後に内翅を出して★になり、次世代を残せなかったようです。


この個体が先陣を切り、次に同レベルやそれ以上が続いていきます。



初代NL、76mm、頭幅28.7mm、顎幅6.6mm


初代NL、76mm、頭幅27.7mm、顎幅6.5mm


初代NL、75mm、頭幅28.7mm、顎幅6.9mm




初代NL、74mm、頭幅27.3mm、顎幅6.5mm



1頭目の怪物を目の当たりにして、すべてを人工蛹室に移しVIP待遇をしたのですが、1頭目ほどずば抜けた化け物が中々出てきません。どれもとんでもないレベルでしたが、もう1回あの超越した個体を見たい・・・・そんな中最後の最後に蛹化をしてくれたものがこちら・・・・。


初代NL、72mm、顎幅6.9mm

この個体が次世代NLに繋がっていくことになります。


順昌NLはこのように超異質な誕生背景を持つ超異質な系統となりました。しかし、それでも超極太になるとなかなかサイズが出ず、超大型になると光沢が消失するという課題が残りました。総合的に過去の当家の順昌を超える系統が誕生こそしたものの、まだまだ血統と呼べる安定感がありませんでした。また、幼虫時最終計測体重が28gを超えるものになってきて超極太形状で蛹化すると、高確率で黒化してしまうという弱さも持っていました。


そこで当家はこの順昌NLを更に改良することを試みます。

・72系統のブレンド

・AP系統のブレンド

・73C系統のブレンド


上記の3つの交配を試行します。これが2019年以降の順昌系統です。初代NLのオス親は長く種親として活躍をしてくれました。


以下、NLのその後をご紹介します。





・73C系統のブレンド-NLC

皮肉なことに、ざら肌になっても構わないというつもりで作った73Cブレンドは、このようにビカビカの美肌美形個体として次世代を飾りました。


・73C系統のブレンド-NLC

とても美しいシルエットの個体群が誕生しましたが、迫力や異形性がおとなしくなってしまったため、このラインからは撤退をしました。




AP系統のブレンド、NLAP


AP系統のブレンド、NLAP



AP系統のブレンド、NLAP


AP系統のブレンド、NLAP



AP系統のブレンド、NLAP

NLAPは初代NLよりも少しだけおとなしくなりました。その代わり、分厚くなり、安定感が増し増した。威圧感や異形性は若干控えめになったものの、安定化を図るということと、初代NLの形状を保持するという2点をサポートできる系統として存続させました。




72系統のブレンド、NLU2


72系統のブレンド、NLU2



72系統のブレンド、NLU2



72系統のブレンド、NLU2

NLU2については、理想の発現傾向に近いものを出してきましたが、ご覧の通り仕上がりに苦労をする個体がやや目立ちました。それでも、NLU2の迫力と威圧感、頭部のハンマー形状の特異性はずば抜けておりましたので、NLU2もその後のメインラインとして残っていきます。残っていくNLU2のオス親の軸となっていくのが以下の個体です。




72系統のブレンド、NLU2

この個体がNL系の次のステップを切り開く役割を担っていく予定でしたが、大幅に遅れて羽化してきた思わぬ伏兵がNLU2にはおりました。



72系統のブレンド、NLU2

恐ろしい眼下突起・眼上突起の発達を有した超理想形状の超絶個体でした。

70mmジャスト程度で、顎幅7mm前後の超スペック個体です。





2022年12月段階では、上記NLU2の2オスと、NLAP系が次世代の順昌を担っている状況です。また、今後の当家の順昌系統の変遷については、2023年の結果を踏まえて公開していきます。

閲覧数:147回

最新記事

すべて表示

【お詫びと訂正】WX50系の血統背景について

◆お詫び内容◆ 2023年11月22日更新のブログ、「KX303」の執筆をきっかけとして、当方のWX50系(2021年羽化系統)=の血統についての情報発信に一部誤りがあったことが判明致しました。また、Twitterにおける2023/3/27のDX50に関する投稿の内容にも誤...

bottom of page