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執筆者の写真YY

【本店ストック成虫No.5】KX303

KX303

2023年5月羽化

幼虫最終計測体重33g

体長76.2mm、頭幅28.3㎜、顎幅7.37mm

やべぇカッコよさ!GX由来の包丁顎炸裂。K+350由来なんじゃないの~なんて思う方がいるかもしれませんが、K+350もGXからの派生系統。GXからGX50、GX48、K+350が派生しているので、どこからでも包丁顎が出てくる可能性があるのです。

いやぁ~最高にカッコいいなこれ!と撮影に燃えて外に出たのですが・・・あいにくの雨・・・でも、水銀色の空の下でも映え感劣ることなし!

真横にガコンと張り出した基部、まっすぐに伸びて、顎のど真ん中からにょき!と生える内歯・・・マジたまりません。語彙力がすーっと溶けてなくなっていく感じ、優良個体を手に取った時に感じるアレです(笑)


表情に可愛げが残っているのが個人的にはツボ。あんまりギスギス尖っただけの虫って飽きるんですよ。どこかに可愛げがあってほしい。手に乗せて楽しむのが、ホペイの愉しみ方の一つですから、手に乗せた時にどんなパフォーマンスをするかと、どんな雰囲気を出すかはとても大切にしていて、その中でもなんとなく可愛いことは絶対に逃したくない要素だな、と思っています。


形状追及の世界って、一旦成功のパターンや血をつかみ始めると、かなり・・・・やっている本人もホントに?と思うレベルで思った形に寄せていくことができるようになるんです。だからこそ、種親選びは絶対に妥協しちゃいけないんですが・・・(高額なものや有名ブランドよりも、信用できる好みの個体を選ぶのが大切です。最悪、フセツ麻痺していても好みの虫を選んだ方が良い。教科書通りに選んだりすると、教科書っぽい虫が出てきて自分のカラーが薄れます)。

そうやって形状の追求モードに入り始めると、結構虫の造形が虫離れしてくるというか・・・人工的・無機質な感じになることがあると思うんですよね。工具や機械に喩えられることが多いのもそういうことなのかなと思います。そんな風にメカっぽくなっていく中で、可愛さが残っていると、虫に情を移せるというか・・・虫の感情をどうこうという話をしているわけではなく、そんなものが理科的にあろうがなかろうが、ペットなんだから可愛げって大事だよね、なんていうことを思い始めるんですよね。

私にとって、ホペイの飼育って長期戦で、最低4年くらいかけて血統構築計画を立て形状追及に臨むわけです。なので、個人的なワンサイクル前って2015年くらいな感覚なんですよ。だから、今は2030年頃に我が家にはどんな虫がいるのかな~、なんて思っているわけです。長く付き合えるんですよ。でも、個体とは2,3年でお別れになることが多い。どんなに大切に飼育しても・・・ね。


だから、血を残していくわけです。この個体を見ると、やっぱり10年くらいの間のあの個体、この個体を思い出すわけです。その血について一番怖いのは、血の性能が劣ってしまうこと(産まない・不全率が高い等)でも、世論から評価されない虫が出てくることでもスペックで劣ることでもありません。その血に飽きちゃうことです。それが一番怖い。何年もかけて立ち上げた血を絶やすのって、その一瞬の一存で決まってしまうところがありますから。だから血統や系統に対する思い入れっていうのを私は大切にしています。世間でも、〇〇血統をブリードしている方がいて、ホペイというより〇〇血統をブリードしている!なんていう感じ・・・ホペイを始めたばかりの方からは「血統に縛られずに自分好みの虫を追いかけたほうが良いのでは!?」なんていうご意見を頂戴することもあって、それもそうだなとは思いますが・・・


何と言っても文字通り入魂できる血を持っていることって大切で、魂や気持ちがこもらない血って・・・・いずれ飽きて絶やすんですよ。その血の思い入れのきっかけになることっていうのは色々あって、スペックでトップクラスの個体が出たとか、世間の評価が良かったとか、みんなで一緒に飼育している血!とか、有名血統!とか色々あるのでしょうが・・・いずれにしても思い入れがあるからこそ血が続くというのは多分にあって、思い入れが急に薄れちゃうことがあるのが人間なので、「もう飽きちゃった」ってなるとどんなにすごい血でも消えるんです。だから、その時その年度の個体が優秀というのは大切なことなのですが、時には自分の好みじゃない虫がでるかもしれない・・・うまくいかないことがあるかもしれない・・・それでもつなげたい!という気持ちって、累代飼育においてはとても・・・大切なものな気がします。


私は自分のブランドを持っていて、そのブランドが自身のレシピづくり(系統交配法・種親選別法)にあると自覚しています。ですから私は、世論がどうかということは大切にしていますが、気にし過ぎてはいません。ホペイフリークとしては、そこに縛られすぎずに、世論をむしろざわつかせたい・・・フリークアウトさせたい。「そんな虫がいるのか!!」ってね。今隠れている良さを発掘したい。「これまではこういうのが良しとされてきたかもしれないけど、こんなのもありだよね!」って。そういうふうにして、ホペイのすそ野を広げることに貢献したいというのがあります。


だから、インラインで大看板系統群をブラッシュアップしては行きますが・・・・同時に新作も作っていくし、新しい領域の開拓にも妥協はしません。ただ、どのタイミングでインラインをやるかなんですね、そうなってくると大切なのは。毎年新作のCBF1を作る方が簡単で、F2,F3と進めていく方が中々難しい。もっとカラーが違って、もっと素敵なスタートラインを引きたくなっちゃう。そんな中、F2、F3へと足を進めさせてくれるきっかけって何かっていうと・・・カッコよさとか評価よりも・・・


可愛さ、その系統の虫たちの可愛さなのかもしれないな、と最近思います。



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