top of page
執筆者の写真YY

【本店ストック成虫No.37】KX8.3

KX8.3

2023年6月羽化

幼虫最終計測体重38g

体長78.2mm、頭幅29.2㎜、顎幅8.27mm、顎厚6.1mm

※顎幅は今回は鬼のきつさで計測、ほぼ幹幅(笑)

※基部幅だと8.4位余裕で取れますが・・・

ホペイは顎だけ育てる世界ではないのに・・・

そうなんども思ってきました。あまりにもコメントが顎に集中しますから。

水かきや、内歯の位置取り、内歯の長さや外歯との形状の加減などについてはとても奥深い世界なので、そういった沼についてその深さを語って頂けるならもう最高に楽しいのですが、顎の幅の話一辺倒ですと流石にちょっとつまらないなと軽く5年は感じていたところです。顎の幅の数値の話でもいいんです。基部幅を取るためにはどういう顎構造がいいのか、厚みはどのように顎幅に影響をもたらすのか・・・そして太く見える顎とはどういった形状の顎なのか・・・”ホペイは顎の太さだけの世界ではない”とは言っても、私が「顎はホペイの顔」と言っているくらいに顎の造形の奥行きは青天井ですから、顎数値や顎の太さについても本気で語ればまぁ、その程度にはいくらでも・・・

※iPhone11撮影

でも、「顎太いですね」「更なる顎の太さを」この2セットのローテーションを5年1500日くらい繰り返されると流石にそんなに浅い世界ではないんだけどな~というのは感じてしまおうものです。そこで、顎幅をめちゃくちゃに取って「ホペイは顎幅だけの世界ではないぜ」と物申そうと思っていたという本心があったことは間違いありません。が・・・

そうやって太さ”も”追求した結果、私は自覚していなかった2つのことに気づく羽目になったのでした。


①顎幅に全振りしたブリードを自身が行うことができない

→どうしても選別の際に形状を加味する

→今年は顎幅にすべてをささげます、と公言してもやり切れない

➁太くてカッコいい・太くて美しいを狙えばよい

その結果がこれ・・・どうです、この美しさ。美形個体の横に並べられます。上翅の皺?そうなんですよね。この皺がなければ『ど・れ・だ・け・う・つ・く・し・い・こ・と・か』ですよね。そう、めちゃくちゃに太くて、現在のDorcus Hopei族の太さの末端にあっても、美しさとか均整、品格・・・そういったものを持ち合わせた個体が出始めているんです。KX8.3は、9顎を上限とし8顎を可能圏とし、けっか7顎が余裕ゾーンとなっています。そういう血ですから顎7台を形状中心に見ることができます。スペック?7台だから細めだね・・・だから美形に寄せられそうだね・・・・そういう血です。8台でも美しく出てくるとこの仕上がり・エレガンス。

パイプ状の顎の表面の独特の禍々しさには威圧感を感じますが、頭部や胸部の綺麗さに目が行きます。

めちゃくちゃ無理をして限界みたいな個体をこんな感じで写して、上翅を隠す。

顎だけを至近距離で撮影して、画像をトリミングして映え感を追求する。

そういった写真遊びで実現していた世界が現実になりました。上翅もバチギメでド完品です。

余裕の表情。胸部も過剰に膨張していないし、頭部も中央のえくぼ以外は綺麗です。中央のえくぼはGX50インラインK2由来の形で、多くのKXが踏襲しているので私にとってはもうこの血統であることの一つの証、みたいな感じでチャームポイント的な位置づけになってます。

太くてカッコいい

太くて美しい

そういった、極太を捨てずに形状追及を極めてやるぜ!という新時代の扉をこじ開けたな~という気持ちがあります。形状を捨てなかった割りに、残った極太の価値・・・中々に皮肉な結果だな、と思いますが面白い。9顎の扉をこじあけたな~という方がピーキーな分かりやすさを持っていますが、バカ太くてメチャクチャ美しいよ。8顎あるけど、横に極美個体並べていいよ~という虫が手元にあるマインドの強さは虫以上にエグい気がしてきました。


やっぱり形状捨てなくてよかったな~と思いますし、極太は極太、美形は美形、みたいな線引きやカテゴライズに捉われず、思うままに理想の個体を追いかけてきてよかったな~と思います。形状追及こそ究極にシンプルな世界で、そこにいろんな理屈が付いてくるから複雑なんですよね。複雑であることは、ときに面白いので嫌いではありません。でも物事の究極体って、超シンプルであることが多いように思うんですよね。ホペイの世界も究極の領域はシンプルで、dorcus hopei hopeiを育てようという土俵の範疇であれば、あとは好きな個体を好きなように追いかけよう、ってだけの話。別に歴史なんて知っていなくてもいいし、血統名なんて名乗っても名乗らなくてもあってもなくてもいい。自分にとって最強のにカッコいいホペイオオクワガタが完品で羽化したら最高。それがホペイの世界の根幹であると思います。


思えばこの個体も、なんだか妙にシンプルです。

増し増し盛り盛り情報量過多な個体と比較して、妙にすっきりしていますね。

閲覧数:163回
bottom of page