MTRS-0
2023年5月下旬~6月上旬羽化
幼虫最終計測体重29g
体長73.7mm、頭幅27.4㎜、顎幅6.6mm
まぁ、スペック気になっているんで測りますけども・・・というのが、当家の種親たちです。ボトルには「種!」とだけ書いてありました。記事のために、測ってきました。というケースが結構あります。気になって測る時もあるのですが、種については聞かれて測るケースが多く、でもほぼ100%スペックは聞かれるから、飽きの頃には全部結果的に計測してある・・・という感じです。
このウォッシュがかかったような、1年使ったような・・・・あるいは少し霞がかかったような老獪な雰囲気とつるんとしたエリトラがたまりませんね。もうポテンシャルしか感じない。前胸などの形状もどこも過不足無いという感じで減点が難しい個体です。
顎はザ・台形。そういう個体が出てきてから”いいね”となった形に対し、文化的に”そういう形状がカッコイイ”とされてきた台形は、まず、発現させるのが結構難しい。今は血統が練り込まれているので、やり込みブリーダーから入手すれば高確率で台形が発現しますが、1から作るのは中々難しい。特に20~15年前のブリーダーが「顎先顎先」と顎先を無限連呼していたように、顎先の入り加減というものが中々に難しいのです。だから、血統としいて台形を持っていることはそれだけで一つのステータスになるレベルの話だし、台形顎血統を作れるということは形状追及の技量が高いと言って過言ではないでしょう。
更に、これは持論ではありますが、台形顎個体については眼上突起というより頭部の張り方・・・・・頭部がVの字に張っていること・・・これが台形顎を引き立てるように感じています。眼下突起が大切で、眼下突起の発達が甘いと、なんだかぬるっと間延びした雰囲気になりやすいのかな、と考えています。そして胸部・・・胸部がハッキリといかり肩である方がよく、可愛さとキレを併せ持った台形顎には、少し厳つい感じの胸部を揃えてあげたいところです。
そういう色々をスパッとそろえた個体。まぁ、種だよね。
うん、種だね。この個体を親にしたら次世代は優良個体をどれだけ得られることか。特に68とのアウトをやってみたいという気持ちが膨らみますね。68も極上台形血統だから、このオスに裏年の23yyii68のメスなんかをかけたらもうたまらないんじゃないかな。
所謂”玄人ホペイ”ってやつなんですが、玄人ホペイっていうのも色々ありまして、その中の一つの形がこんな印象・・・というところでしょうか。で、玄人ホペイっていうのは、玄人にしか分からないようなホペイということではないと私は思っています、それはただマニアが分かっているヤツ・・・みたいな知識。ビギナーにも何かを感じさせてこそ玄人ホペイ、すなわち高等ホペイだと私は思っていて・・・・
でも、玄人ホペイって存在を分かりやすく説明されているケースがあまり記憶にないんで分かりやすく(笑)書いてみます。
玄人ホペイってとりあえず言語化すると、「なんかいい」「なんか手に取ってしまう」「飽きがこない」「長時間手に乗せていられる」こんな感じの個体です。だから申し訳ないけれど、ホペイを複数オス羽化させて揃えたことがないと分かりづらいと思う。そこが玄人ホペイの”玄人”である所以かなと思っています。ホペイでなくても構いませんが、形に対しての拘りが文化的に強い種、かつ形の良し悪しに多様性がある種を飼育した経験が、その理解には必要かもしれません。
形に拘るような種を飼育して、何頭かお気に入りのオスを得ると・・・・・一旦ボトルの中にしまっても、気が付いたら手に取ってしまうような個体がいます。太い個体、デカい個体、スペックが高い個体、個性が炸裂した個体といった良さを言語化しやすい個体・”すごいね”と言われやすい個体複数いる状態でも・・・・ふとした時にはその個体を手に取ってしまう。相対的にスペックが高くなくても、小ぶりでも、なんだかその個体で遊んでしまう。飼育をすると、そういう個体が出てきます。それが玄人ホペイ。
ピーキーな分かり味ではなくて、じわっと来る感じ。ぱっと見はインパクトが他の個体につぶされていたかもしれないけれど、羽化の頃のテンションの高まりを過ぎた秋の頃に、なぜか手放せなくて手元に残っている個体。それが玄人ホペイ。これがたまらないんです。だってホペイ飼育って、長生きして手の上に乗せやすい昆虫の飼育なのですから。