順昌W38-NL系
2023年5月羽化
幼虫最終計測体重32g
体長76.2mm、頭幅27.2㎜、顎幅7.01mm
いや~我ながらやらかしたな~・・・と思ってはいますが、「血統を守る」ということにつては新たな見解をもらえた今年でした。血統を守るためには、まずは血統作出者の意向という血統に課せられた法のようなものを遵守すると、結構うまくいくのかな、という見解を得ています。
順昌W38は、ホペイフリークの自己満足日記の方でも書いていますが、個体差のデパートだったように客観視しています。極美個体も極太個体も、エグイ個体も、ブサ可愛い個体も、種を超えた領域に足を踏み込んでいる個体もいるし、独特の前胸の個体もいました。アメリカザリガニ(AZ)・オールワイド(AW)・アゴポキ(AP)・栓抜き(73)・ハンマーヘッド(H2)みたいに、当時公開されていたニックネームを振り返っても個性のオンパレードだったなぁと思います。
私は76U系の形状が好みで、当時使い慣れていた73系と76系をブレンドしながら台形っぽい顎のホペイを練り込んできましたが・・・・76系はあるところから顕著に小型化したんですよね。その後の順昌も中々特大羽化の話は聞かなくなりました。そんな昨年、私は順昌が化け物ぞろいであったAZ系統などの誕生の頃にこの血を戻せないものかと考え始めており、究極のフォルムは北峰から、究極の差別化形状を順昌から・・・というように順昌の位置づけを実は少しずつ変えてきていました。それまでは北峰に負けない順昌というように、当家の北峰にスペックや形状の完成度で劣らない順昌づくりを軸としていたのですがね・・・。
先述の通り順昌は個性溢れすぎる超多様性系統群だったため、これぞ順昌という形状が中々定められないというのが順昌を知るブリーダーの統一見解であると考えています。順昌の中でもこれが好き!というのはあるでしょうが、胸より頭がデカくて、先端がスパッと切れた前胸を備えたH2やPremium系統・・・グワっと張り出して顎先が入る栓抜き系・・・極美肌と威圧的な形状がド派手なSZ計・・・眼下突起の方が発達した唯一無二台形ヘッドの72系と、ちょっとメジャーだったところを挙げても、形状の形容にまとまりがないのが順昌でした。
そもそもそういうことなので、個性という枝葉を広げた枝一本一本を見ても分かりにくいだけだよな・・・ということで、W38の累代が浅かった頃の個体達を振り返り、順昌独特の形状の一つである顎先が入らないが・・・桃顎や丹波栗的な顎でもない、画像の個体の顎のようなシルエットを固定してみようと雌雄を選別した結果がこれです。最終的に、順昌W38のグループがどういった形状個性があるのかということについては、”超多様性がある”というところにいきついてしまったので、根っこを掘ってみたという感覚の系統づくりですね。その結果体重がよく乗るようになり、化け物ゲテモノ揃いだった当時の個性を引きずり出せた気がします。なんでもかんでも先へ先へ、という世界ではないし、維持維持という世界も無いのが面白いところです。
この個体は蛹の頃からめちゃくちゃ無理をした形をしていまして、まぁ仕上がるのは無理だろうなと思っていたのですが、なんとか仕上がったという感じです。厳しかった。ギラギラこてこての肌質、真のまっすぐ顎、先端がY&Yになるような内歯外歯の蟹加減(笑)
これから順昌を少しづつ紹介していきたいですが、デカいし太いし個性半端ないですよ。これがどういうジャンルに属そうがそんなの関係ないね、という、ノギスもジャンルも不要な個性をハッキリ残せたのは一つの成功だったな、と感じています。