今年度は詳細については虫で語ろうというのがテーマです。血統・系統・虫は正直です。個体紹介についても、多くは虫に語ってもらおうというのが2024年のホペイフリークのスタンです。尚、本年度の系統一覧については以下によりご確認ください。
ホペイフリークのYoutube
2024年度系統紹介
今回ご紹介するのは以下の個体です。
【生体情報】
◆種類:ホペイ/ホーペ/ホーペイオオクワガタ
◆学名:Dorcus hopei hopei
◆産地:福建省北峰
◆累代:F2(同腹兄弟姉妹同士交配純インラインブリード)
◆血統名:♠7.8(A7.8)
◆グループ:♠7.8(A7.8)
◆系統番手名:♠7.8①(A7.8①)
【血統内訳】
およそ以下のような血統を内訳としています。
※当店の単位の基準で記載をしています。目的は「きちんとしたホペイ種であるという信頼が持てる単位」です。→交配において重複する血統や系統があります
※記載している以上の情報を個人単位で提供は致しません
・TP:E
・HO8
・劉備
・張飛(A160含む)
・皇帝
・TT2A
・SAX
・極峰
等
♠7.8①
体長:75mmほど
頭幅:27.4mm
顎幅:7.3mm
顎厚:5.5mmほど
翅先あと1.5㎜が悔しい1頭です。存在価値はピカ一でしょう。だって、こういう形が中々世の中にいないのですから。そして、こういうレベルで固定されている血はおそらく存在しないのですから。
ホペイは形状追及の世界ですから、「形」という柔軟性のあるもので勝負をする世界です。思い切り顎が短くても良いし、長くても良い。ツヤ肌でも構わないし、サメ肌でも良い。極太でも、細くても構わないし、デカくても小さくても良い。問われるのは存在感1点ですね。好みではなくても、唸らされたら負け、という感じでしょうか。好みの個体を飼育すればよいのですが、だからといって好みではない守備範囲の個体を否定できるというわけでもなく、豪湾好きでも、ストレートの凄い個体をみて「う~ん!これはスゴイ!まいった!」ということもあるわけですね。
そういうことですから、好きな形を飼育すればよいのです。それは既存の形でなくても構わないのです。今存在しないような形を追いかけても全く問題ない。中々存在しないような、重なり100%を昔のホペイブリーダーは追いかけていたわけですし。
ですから、ホペイの世界は自由度が高い世界であると言えます。言えますが・・・・実はここには落とし穴があるのです。それは・・・
・既存の血で発現が確認されている形状は発現させやすい
・既存の血で発現が確認されている形の組み合わせや中間的なものも発現させやすい
・流通する血で未確認の発現開拓は非常に難しい
国産オオクワガタでも、90㎜オーバーを狙いやすい産地と狙うのが難しい産地があると思いますが、その由来は血統に由来しますね。90㎜付近が出ている血統が存在して、その血統を飼育するか、その血統を組み合わせればそういう大きさのオオクワガタの誕生の可能性が高まるわけですが、90㎜クラスが存在しない産地のオオクワガタをその産地ラベルに拘って飼育した場合、90mmをその産地から誕生させるハードルは高そうです。
体長は分かりやすいので例にとりましたが、要するに「既に存在するものを用いて次世代でそれに近しいものを誕生させる・それに関係するようなものを誕生させる」という飼育に対し、「未確認のものを誕生させる」ということは相対的に難しそうだぞ、ということです。
♠7.8に求めたのはロング顎での映え感です。
上から見ると超ハイスペックな顎がすっきりして見えるほどの長顎で、エッジもキリっとしたものが多いです。セミロング~ロングに求められる極上形状を発現させます。ロング個体に対するこだわりはいくつかありますが、とにかく内歯に対する拘りは徹底しており、スッキリと先端が前を向き、ぐにっと曲がらないことに拘り抜いています。♠7.8はF2ですが、この拘りはGX誕生の頃から続けているので、あまりブレません。側面から見ると、驚異的な立体感を醸す個体が多いです。特に顎⇒頭⇒前胸⇒上羽の接続のうねりはyyii由来のもので、めちゃくちゃカッコいい。
実際に誕生させてみると、極太×極厚×長さという、誕生させてみれば当たり前かもしれませんが顎体積が最強という結果になり、その上顎の長さは予想以上になり、基部も予想以上になり、厚みに至っては大砲連発という凄まじい結果になりました。
ハッキリ言ってスペックアップよりも形状開拓は難しい、と私は思っています。特異な形状は、スーパーハイスペックよりも苦労をすることが多いです。そこをなんとか乗り越えさせて、血統化していくわけですね。
♠の極上形状は安定感抜群で上翅もぴしーーーっと綺麗、「本当に7後半!?」という仕上がり力で別格。その上で、まだ見ぬ究極ロングを誕生させてくれました。ハッキリ言って感無量です。
性能としての魅力は羽化までの顎痩せの圧倒的な少なさと、体幹の立体感です。♠は顎痩せが非常に少なく、正に8.1系のそれです。そこそこの太さの蛹から、7超級がスパッと生まれてきます。蛹の頃はすっきりしたサイズの顎なので、蛹化力が高く、痩せずに羽化してくるので成虫の顎スペックを稼ぎやすく不全しにくいという仕組みでしょうか。
めっちゃくちゃカッコいい、セミロング~ストレートの映え感抜群個体は販売しますが、凶悪なレベルの大砲顎個体は抱え込んでしまいます。もう少し安定化させると、更にスペックが上がりそうなんですよ(爆)いずれにしても、どの♠も、1点物は側面から見た立体感はまさにyyiiの立体感のそれ。手に乗せるとフタマタクワガタを鑑賞しているようでたまりませんよ。